アグリテック(Agritech)
アグリテック(Agritech)とは、「農業」の英語アグリカルチャー(Agriculture)と「技術」の英語テクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉です。
インターネットやロボット技術の農業分野への適用が進み、最近アグリテックと言う言葉を多く見かけますが、(私が知る限り)最初のアグリテックは、2018年に20回目を迎えたAgritech Israel(International Agricultural Technology Exhibition)です。
作物(Crop)
作物とは、人類・家畜に直接的あるいは間接的にエネルギーを供給する、あるいは市場で取引されることを目的に人により意図的に育成される植物のことを言います。
作物はどのようにして育つのか?
植物生理の基本は、光合成です。太陽からのエネルギーは、光合成によって植物に固定されます。
光合成は、(葉緑体のチラコイド膜の電子伝達系によって)光エネルギーを化学エネルギー(ATPとNADPH)に変換する過程と葉緑体のストロマの炭素固定系によってCo2を固定しブドウ糖などの炭水化物を生成する過程から成り立ちます。
栄養素・肥料
肥料は、日本では、肥料取締法に「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいう」と定義されています。
肥料は、植物を生育させるための栄養分として、人間が施すものです。
人類は、植物が成長するのに必要な栄養素(肥料)を作り出して農業を進めてきました。
潅水(イリゲーション)
正確な潅水(Precise Irrigation)の考えは、古くからあり、人間は古代から水を管理してきました。
亜熱帯の日本では天水ともよぶ雨水による農耕が一般的ですが、意図的に水を供給する潅水(Irrigation)にもいくつか方法があります。
点滴潅水(ドリップ・イリゲーション)
古代に土中に埋めた土器を水で満たし、水が土中へじわじわと浸み出すことで潅水したといわれ、1920年代にはドイツで土管で作った灌漑兼排水システムを用いた地中灌漑の実験を行って、その後穴のあいたパイプが売り出され、欧州・米国に広がりました。
1958年にイスラエルでプラスチックのエミッターを使った長いパイプのどこでも一定の水を点滴のように排水できる点滴潅水技術が確立しました。これを開発したNetafim社が1964年に特許をとりましたが、現在は特許が切れて多数のメーカーが製品を販売しています。園芸用や環境にやさしいポリエチレンパイプもあるります。
養液土耕(ファーティゲーション)
養液土耕(英語Fertigationは、肥料Fertilizerと潅水Irrigationをかけわせた言葉)は、点滴潅水に液体肥料(液肥料)を混入して、潅水と施肥を同時に行う営農方法とそのシステムのことを言います。
養液土耕栽培には、① 潅水・施肥の養水分管理の数値化・マニュアル化が容易で、作業を省力化できる。② 潅水・施肥を均一に出来る。③ 作物が必要とする最小限の水と肥料を与えるので、省資源で、環境保全が可能。④ 作物の生育ステージ(播種・定植期、生育期、完熟期・収穫機)に合わせた潅水施肥が可能など多くの利点があります。
当社の実験農場でも効果を発揮しています。
アグリスマートAIの基本
土壌や大気環境の中の植物や動物が生活している場所(生物圏)は、空間スケールとシステム構成要素の連続体と考えることができます。
大気、水蒸気、CO2、O2などの気体は、大気から土壌内の間隔、さらに葉内の空隙にまで連続体として存在し、液体の水は、湿潤土壌の間隙から植物の根や葉の中の細胞まで連続体として存在しています。
システム全体の中で液相と気相の界面は、潜熱交換が生じる場であり、水の質量交換とエネルギー交換を結び付けています。エネルギーと質量保存の原理は、このシステム全体、あるいは植物の一個体、葉、木部道管、さらには一つの細胞のような構成要素に適用することができます。
この基本に基づいて、アグリスマートの基本である「植物の力を最大化する」ことが、アグリスマートAIの目的です。
観測できる気象・土壌・植物状態
人の判断ではなく植物や作物の状態を知るには、環境センサー、土壌センサー、植物センサーなどの観測機器を介して、状態を観測することによります。いろいろなセンサー機器が開発されていますが、クラウドサービスに人の手を煩わせることなく繋がり、常時変化を観測できる機器は開発途上です。
※ より詳しいサイト 農賢農園 を訪問下さい。